バッド・ニュースは突然に

大変なのは入居時だけではない!

先日の記事、「キャンセル・ドタキャンされるのは飲食店やホテルだけではない!」では、入居申込を頂いて、入居日まであと五日となったところでキャンセルされたお話を披露しました。

四月一日の新・民法施行でこれから、ますます立場が強くなる借主側の兆候として増えてくるのではないでしょうか?

そして、貸主側にとっての脅威はそれだけに留(とど)まりません。

“急な退去”という事態も起こり得ます。今日の記事は、その実体験を披露したいと思います。

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悪いニュースが突然、訪れた!

先日の土曜日、アンニュイなヌーン。

とある、単身者向け弊社所有物件の管理会社から着信アリ。

担当者「お世話になります、ナカシマさん、今お電話大丈夫ですか?」

ナカシマ「お世話になります、大丈夫ですよ。そちらから電話してくるって珍しいですね」

担当者「実は、○○アパートの101号室の入居者が退去することになりました」

たかだか所有件数、30戸の弱小大家ですから、すぐにその入居者の属性が頭に浮かびます。

某私立大学の三年生で、遠く離れた県外の男の子。二年生の時に大学の寮から弊社物件に転居。

まだ一年半ほどの入居期間です。卒業まで、まだ半年以上あります。

ナカシマ「で、いつ退去するんですか?」

担当者「今から退去立会いです」

ナカシマ「今から?!」

こんなの、初めてです!

“昼逃げ”?

通常、諸手続きがあるので、退去する一か月前までに管理会社なり大家なりに退去する旨を伝達するのが常識です。というか、どの賃貸借契約書にも明記してあります。

突然、思い立って退去される場合は、一か月分の家賃を違約金として家主に支払わなければなりません。さらに、これが半年や一年未満の短期退去の場合はそれに応じた違約金が加算されて、最悪の場合ですと、家賃三か月分を違約金として支払うことになります。

ですので、このような突然の退去は、よほどの事情が借主側に生じた可能性があります。

大家側にとっては、経済的な面だけで言わせてもらえば、残置物や滞納家賃、その他すべてを放り出して雲隠れする、いわゆる”夜逃げ”ほど悪質ではないにしても、言葉は悪いですが、”昼逃げ”と言えるものです。

私立大学生を取り巻く環境に変化か

数か月前にも別の物件で、同じ大学の学生が家賃保証会社の手によって強制退去させられました。親の事業がうまくいかなかったため、学費を払えなくなったのです。

その頃はまだ、新型コロナウイルスというものは世に出ていませんでした。

今回の”ドタキャン”ならぬ”ドタ退去”のように、今までには有り得なかった状況が、普通に展開されるでしょう。

これからの大家は、今までの先例を参考に出来ない事態が生じる場面が起こってくるでしょうから、どんな状況に置かれても微動だにしない肝っ玉が必要になってきていると思います。

新型コロナウイルスによる経済低迷は今後、大家業を営む我々に、今までにない大きな試練を与える可能性が高まっています。

若人に幸あれ!

あまりにも急だったので、退去立会いに私は立ち会えなかったのですが、あとで現場を見に行くと意外にキレイに使ってくれていました。

一年半と、入居期間が短かったことを差し引いても、意外でした。

と、言いますのも、彼は他の学生入居者の類に漏れず、友達を夜な夜な連れ込みタバコの吸い殻投げ捨てや騒音、友人・知人の車の違法駐車等で近隣に迷惑をかけていました。

私も定期清掃時に注意したこともありますし、管理会社や近隣住民も注意するほどの要注意人物だったのです。一年近く経って、ようやく苦情が来なくなりましたが、退去すると聞いて、正直タバコのヤニで相当、クロスはやられているだろうなと、想像していました。

ところが、タバコのヤニ被害や匂い被害がほとんど無かったので意外だったのです。そのうえ、キレイに掃除して出ていってくれていたので。

退去立会いしてくれた管理会社の担当者に聞いたところ、立会いの場には、入居者本人は居なくて、御両親が対応したとのこと。

おそらく、部屋をキレイに掃除したのも御両親でしょう。

御子息が可愛いのもわからないではないですが、ここは御子息の将来のためにも、日本社会のためにも、入居者本人に掃除や退去立会いというものを経験させてあげて欲しかったと思います。

まとめ

勝手な想像ですが、もしかしたら、大学を最後まで出す経済的援助が出来なかった負い目を感じて親御さんが後始末をしたのかもしれません。

そして今回の退去理由は、家庭の経済的理由ではなく、ただ単に本人が学生生活に何らかの限界を感じて中退したのかもしれません。

さらに今後考えられるのは、新型コロナウイルスによる経済低迷による家賃滞納、家計破綻によるやむを得ない大学中退。

いずれにしても、今後、学生向けアパートを所有している大家さん、オーナーさんは”ドタ退去”が多発する可能性を覚悟しておいたほうがよいのでは?と、感じた次第です。

終わり

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