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正解は無い!
不動産投資本や大家ブログを拝見していると「不動産投資に正解は無い!」とか、「大家業に正解は無い!」といった文言(もんごん)が散見されます。
「投資」と一口に言っても、売買の時ばかりではありません。
「原状回復工事での細かい修繕費用を、ここは掛けるべきか否か?」も投資判断ですし、むしろ頻度の多さで言えば「売買時」よりも「修繕時」のほうが「投資判断機会」は圧倒的に多いです。
一般的に「売買事例」に比べて「修繕投資の具体例」が乏しいと感じますので、小生が今回”大家業あるある”事例として記事にしたいと思います。
1Kの原状回復工事
今般、弊社一つ目の物件と四つ目の物件でおなじみの1K+ロフト付き、30年前に林立したいわゆる「旧レオパレス物件」の空室を「管理会社調達業者+弊社セルフリフォーム」で原状回復工事しました。
今回退去された方は、11年間住んで頂いたので、それなりに原状回復費用が掛かります。
一度、管理会社に出して頂いた見積書から「キッチンの残シール剥がし500円は自分でやります」と言って、管理会社に再提出してもらった原状回復工事の見積書がこちら↓
クロス張替え代は、岡山県南では安いほうだと思います。メートル単価、千円以上取られることもありますので。
これらの項目のうち、退去者負担分は下記の三つです。
・ルームクリーニング:30000円
・エアコン分解洗浄:8000円
・洋間掃き出し窓カスミ網入りガラス取替25000円
※「熱割れによる破損」かもしれませんが、いずれにしても”借家人賠償責任”として原状回復してもらえます(もしくは相当費用の負担)。入居者加入の損害保険を使おうと、自腹(じばら)だろうと。但し、これは大家側が管理会社なり、退去者に主張しないとシレッと大家負担で進行しますので御注意下さい。
鉄則!!自分で出来ることは自分でする
そして、これらの項目だけではなく、例によって自分でしたほうが安上がり、かつ自分で出来る次のことは自分でやりました。
・台所、浴室の水栓ハンドルとケレップの更新
・洗濯機ストップ機能付き水栓への交換
・台所流し下、排水・給水配管周りのスキマのコーキング
・LED電球、蛍光管、グロー球の更新
・トイレ給水用立ち上がりフレキシブル配管の更新、水栓ハンドルとケレップの更新
・浴室のシャワーヘッドの更新
・ベランダの掃除(通常、ベランダの掃除はルームクリーニングに含まれないため)
これらのセルフリフォームで、部材費だけでも二万円は掛かります。
業者分と合わせて、すでに20万円を越えています。
1Kだからこれで済んでいますが、2L D K以上のファミリー物件だとこれの三倍とか平気で掛かります。
一見、終わったように見えるが・・・
業者による原状回復工事とルームおよびエアコンの美装工事、そして大家自身によるセルフリフォームが終わると、さあ即、入居可!!となるわけですが、私はそうはなりません。
空室を最終チェックして、気になる点があると、そこにお金を掛けるべきかどうかで思案することになります。
最終チェックをするとなにかしら気になる点が目に付きます。
入居希望者の目線になると、大家でもわかるはずです。
ゴミなら拾って捨てれば良いですし、汚れは除去すれば良いです。
しかし、それらとは一線を画す事例が今回は、二点ありました。
・便座の先端にヒビが入っている。(=割れている)
・浴室の鏡の、いわゆる”うろこ”が除去しきれない。
管理会社の見積り通り実施すればOK、ではない
ある程度、付き合いのある管理会社でしたらオーナーの懐具合(ふところぐあい)を忖度し、なおかつ時世を考慮して、入居付けするにあたり必要最小限のリフォームを提案してくれます。
(例外として、リノベーションが必要と判断すればそれなりの項目を提案するでしょうし、サブリースの場合はもっと高額になるでしょう。)
しかし、管理会社が提案した項目をまっとうすればそれで良いのかと言うと、そうではありません。
自分(自社)の懐具合と相談しながら、「これは更新しておいたほうが良いのでは?」と思った箇所があれば、思案してGOかSTOPを、大家が決めなければならないのです。
細かいところでは、照明機器やエアコンのリモコンの電池があります。
なんとなく効きが悪いと感じたら、大抵、電池が消耗しています。これくらいなら、数百円のことですから、単三か単四電池を購入して新品に交換します。
ところが、今回の二点はそれぞれ数千円掛かります。二点合計で約一万円です。業者に交換作業を頼めば、工賃でプラス数万円取られます。
資金繰りに窮しているオーナーなら、「使えないわけじゃないから、今回はそのまま使ってもらおう。使用に耐えられなくなったらその時に対処しよう」と判断するでしょう。
ここで問題になるのは、入居付けが厳しいこの御時世で、便座の割れ、鏡の”うろこ”を内見者がスルーするのか?ということです。
賃借側よりも賃貸側の立場が弱い
供給側が希少価値ならそのまま放置でいけるでしょう。
しかし、コロナ禍真っただ中の今の御時世で、これは見逃せない問題です。
弊社も、現在、資金繰りには窮しています。コロナ融資や支援金も受給基準から外れています。
そんな中、便座と鏡を、一万円支出して交換するべきか?
私は、即断即決タイプの人間ですが、一晩、悩みました。
結果、昨日、便座と鏡の安いものを探して、岡山県南のホームセンターを10店ほど回り、調達したものを汗だくになりながら、それぞれ交換しました。
自分が内見者なら、便座先端部のヒビ、鏡の”うろこ”のどちらか一方を目にした途端、次の物件を案内してもらうと思うからです。
まとめ
内見者が、いちいち「このヒビが入った便座を新品にしてくれたら申し込みます」とか、「浴室の鏡を新品に交換してくれたら申し込みます」とか案内人に交渉しないでしょう、面倒くさい。
その前に「このアパートのオーナーは、こういう感性の人なんだ」と考えて終わりでしょう。
「窮(きゅう)すれば、鈍(どん)ずる」
これは、不動産賃貸事業を運営する経営者が肝(キモ)に銘じておかなければならない言葉だと思います。
終わり
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