ブログ、再開!
長い期間、お暇を頂いていたこのブログですが、ゆるりと再開させていただきます。
再開後の一発目は、賃貸用不動産(住居専用の一棟もの集合住宅)に必要な設備、不要な設備についてです。
「設備」と「サービス品」
ここで言う「設備(せつび)」とは、物件に備え付けられているモノのうち、壊れたときや使えなくなってしまったときに大家(おおや=その物件の所有者。オーナー)が自費で修理したり新品に交換したりするモノのことです。
対して、入居者の費用で修理または新品に交換してもらうモノを「サービス品」と言います。
(注:岡山ではこのように言葉を使い分けていますが、地域によってはまた別の呼び方があるかもしれません。)
具体的な例としては以下のモノがあります。
・エアコン
・給湯器
・温水洗浄便座
・洗面化粧台(シャンプードレッサー)
・台所のシングルレバー混合水栓
・浴室サーモカラン(シャワーホース、ヘッド付き)
・ガスコンロ
・IHコンロ
・テレビドアホン
・浴室暖房乾燥機
・火災報知器
・照明器具
昨年の大事件
昨年(2024年)、大家さんたちにとって「大事件」とも呼べる出来事がありました。
それは「プロパンガス会社からの設備無償提供、全面禁止!!」が国(国土交通省、経済産業省)から発せられた、というものです。
「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を施行しました
(「過大な営業行為の制限」(2024年7月2日施行)、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令)
御丁寧に違反した業者を国に告発するサイトまで設けているので、プロパンガス会社とオーナーは戦々恐々としています。(…問題行為に接した場合、資源エネルギー庁が開設した「LPガス商慣行通報フォーム」https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/shigen-nenryo/tsuhoform に情報提供すること。)
この指導の目的の一つは、「大家への過剰なサービス提供によるプロパンガス会社同士の過当競争防止を防ぎ、健全なビジネスに軌道修正する」です。
極端な例ですと、前項で挙げた12項目すべてをプロパンガス会社が大家側に支給し、無償で修理または新品に交換等していました。これは極端な例ですが、一般的にも給湯器とエアコンを含む4~5品目は当たり前でした。
ところが、2、3年前から噂が立ち始め、2024年の夏に現実にお触れが全国一斉に出た次第です。
この事件によって、今までの大家とプロパンガス会社との蜜月関係は終わり、景色がガラリと変わりました(正確に言うと「元の正常な商慣行に戻った」ということなのでしょうけど)。
入居者目線で見ると、プロパンガスよりも値段の安い都市ガス物件のほうが良いでしょうし、大家目線で見ても無償設備提供が無いなら都市ガスでOKとなります。(都市ガスの企業はプロパンガス会社のような「無償設備提供」という商慣行はもともとありませんが、プロパンガス会社でもその商慣行が無くなったわけですから)
もうしばらくは続く
ただ、プロパンガス会社の無償設備提供は通常、10年償却で大家と契約を取り交わしており、書面で正式に契約している分に関しては期間満了まで適用可のようです。
それにしても、融資を受けて物件購入している大家さんは、変動金利の場合半年ごとに返済利息が上がっていますし、原状回復工事費用やリフォーム工事費用の高騰に加えて設備無償提供も無くなるわけですから大変です。不動産賃貸業(不動産投資)がやりやすかった時代は終わり、運営が厳しい時代に突入したと言えます。
その他の設備
入居者専有部分の設備について述べてきましたが、共用部の設備も少し触れておきます。
太陽光発電システム
賃貸用収益物件(マンション、アパート)も屋上等に太陽光発電システムを設置しているケースがありますが、これはもはや「不要な設備」と言ってよいでしょう。
と言いますのも、買い取り期間(事業用なら20年)が経過したあとは収益が期待できないですし、パワーコンディショナー等の機器類の修繕や買い替え等も必要になってきます。
さらに、昨今の法改正により物件売買時の太陽光発電システム移譲手続きがかなりややこしいことになっているようです。
オール電化物件
これも収益物件ではやめておいたほうが吉です。入居者にはメリットが多く(ガス代不要、IHコンロや給湯器は通常、「設備」なので大家が管理・対応してくれる)、大家にはデメリットしかありません(電気給湯器は単身世帯用の安いモノでも30万円/戸を下(くだ)りません)
まとめ
上記の二項目は、実需(じつじゅ=“収益物件”の対語。買った本人が住んで生活するための住居のこと)では考えようによっては良い設備ですが、こと賃貸用物件(収益物件)では経営上、“悪い設備”ということになります。つまり、「実需物件」と「収益物件」では必要な設備、不要な設備を明確に分けて考える必要があるのです。物件を探す上で参考にしてみてください。
終わり
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