地方自治体も詐欺に遭う

詐欺(さぎ)被害に遭遇するのは個人だけではありません。

法人や地方自治体などの「組織」も詐欺の対象になり得ます。

近いところでは、地面師による積水ハウスの例がありましたね。

およそ55億円という、一般庶民にとっては天文学的な金額をだまし取られました。

犯人たちは逮捕されたようですが、だまし取られたお金は返ってこないでしょう。いわゆる”泣き寝入り”です。

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地方自治体も?!

私が住んでいる岡山県にある地方自治体でも、なにやら不穏な動きがあります。

「備前長船の名刀産地」として名高い”瀬戸内市”が、個人所有の国宝の刀(かたな)「山鳥毛(さんちょうもう)」を5億円で購入するべく前年秋から、クラウドファンディングやふるさと納税で寄付を集めています。

上越市は断った

今までの経緯をネットで調べてみると、3年ほど前にこの刀の所有者(岡山県在住の個人)は新潟県上越市に購入を打診したようです。

上杉謙信が使っていた刀であることから上越市も当初、購入に乗り気でした。

しかし、購入費が5億円と高価であること、専門家に査定してもらったところ価値は3億2千万円だったこと、購入にあたって不足している1億8千万円を市税から補てんすることを知った市民から猛反発を受けたことから購入を断念したようです。

所有者が瀬戸内市に打診

上越市が購入を正式に見送ったことで、所有者が次に打診したのが岡山県の「瀬戸内市」です。

瀬戸内市長船(おさふね)町には刀専門の博物館がありますが、有名どころの刀の多くは他県の美術館にあることから市長をはじめ、刀愛好家の市民や議員はこの話に大乗り気になったようです。

昨年秋に市民に対して市側から説明会を何度か開いた際に、上越市と同じように反対意見も出たようですが「税金は1円も使わない。すべて寄付でまかなう」と説明して購入計画を押し進めてきました。

売主の言い値で買う?!

5億円で売りたい売主、指し値ナシの5億円で買うと言う買主(=瀬戸内市)。

あとは寄付が集まることを願うのみですが、かなり苦戦しているようです。

この2月には市長が「財政調整基金」という市の”貯金(=税金)”を4億円ほど一時金としてお借りしたい旨の議案を市議会に提出しましたが、猛反発を受けてすぐに撤回しました。

そのかわり、寄付を募る期限を1年延長して来年3月までにするとのこと。

その期限までに目標額(実際に必要な額は10億円以上とも!)に達していなければ、この刀の購入は見送ることになったそうです。

「国宝の刀」は市の発展に寄与するのか?

高価な伝統工芸品で、しかも「国宝」。

市が運営する博物館に所蔵すればさぞかし観光資源になるはず、との目論見(もくろみ)でしょうけど我々投資家の目線でこの顛末(てんまつ)を見てみますと、どうも腑(ふ)に落ちません。

・「池江璃花子選手の白血病治療費をクラウドファンディングで募る」ならまだ現実味がありそうですが、「一(いち)地方自治体の工芸品購入を応援する」ために”寄付金”が10億円も集まるのか?

・上越市で専門家に査定してもらった額が3.2億円なのになぜ売主も買主も「5億円」にこだわるのか?根拠が不明。

・高額な資金をつぎ込んだあとに、投資額を上回る収益をあげることができるのか?根拠が不明。

・半数近く反対する議員や市民がいるにも関わらず、購入に向けて突き進む意義は?

どうも、投資家用語の”買いたい病”に陥っている可能性がありそうですね。

仮に、観光資源になり得るとしてもあまりにもリスクが高すぎる投資に思えてなりません。

私がよく提唱する”「投資」でも「消費」でもなく、単なる「浪費」”になる可能性があります。

まとめ

投資でも普通の買い物でも、買う側が「ぜひ欲しい!」「ぜひとも買いたい!」という姿勢を見せた時点で”負け”なんですよね。

このケースなどは、「無償で寄付してくれるのであれば、ウチの博物館に置いてあげてもいいですよ。その際のセキュリティや、保管のための改築費用1億円だけは当方でみます」くらいのスタンスで良いのではないでしょうか。

売主は先祖から引き継いだ、たいして興味もない骨董品なだけでハッキリ言ってしまえば「お荷物」ですから、”高く売れたらもうけもの”くらいの感じじゃないですかね。

現市長も長く務めていらっしゃるようですから、カルロス・ゴーンのように”盲目”にならないように、周囲の言葉に耳を傾けられることをオススメします。

終わり

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