この場合の緊急対応費はオーナーが持つべきか?

手が掛かる子供ほどかわいい

入居者の失踪、大規模修繕実施、内装リノベーション9戸実施と購入以来、なにかと問題の多い三つめに購入した12戸前の二棟もの築36年鉄骨造アパート。

中でも2018年初頭の寒波による連続凍結破裂事故には苦しめられました。

関連記事「7.三つめの物件、満室へ」

火災保険にもかなり助けられました。

関連記事「火災保険の重要性」

一年後の今年は暖冬傾向だったことと満室で水の流れがあったこと、それとエアキャップ(いわゆるプチプチ)や緩衝材スポンジを給水配管や貯水タンクに巻いたことにより凍結事故の通報は一件もありませんでした。

大いに「ホッ」としている次第であります。

トラブルが落ち着いた今、振り返ると遠い昔の出来事に思えます。

そして、意外に手が掛かる物件ほどかわいく思えてくるから不思議です。

スポンサーリンク

一回だけ配管トラブルあり

2018年10月下旬、この物件で今シーズンも一度だけ水回りのトラブルがありました。

それまで夏の名残があった時候から本格的な秋になりつつあった時期でしたが、その日だけ急にポン!と寒さが増したのです。

すると途端に水漏れの通報アリ!

「三つめの物件の2○○号室玄関付近から水が漏れて、二階の廊下から下にしたたり落ちているそうです!」

電話からは管理会社の若い男性スタッフの上ずった声。まだ就任まもないのでしょう。緊張感が伝わってきます。

こっちは1年前にさんざん経験しているので落ち着いたものです。

「了解しました。あの物件は玄関から水が漏れても一階、二階双方の台所や居室は水濡れ被害にならないから大丈夫です。私が現場に行きます」

夕方、若干の渋滞もあり50分ほどかけて車で現地に着くと一階の入居者も廊下に出て心配そうに上を見上げていました。

「部屋の中は大丈夫ですか?」と聞くとうなずきました。

予想通り、居室への被害はなさそうです。

二階の問題の部屋に行くと入居者の大学一年生の男の子が不安そうな顔で中にいました。

いつも水道関連の修理に尽力してくれている修理業者も呼んでいたので、まもなくして到着しました。

原因を追うとユニットバスの上で給湯配管が破裂していました。

この部屋は一年前の凍結事故でも損傷があったのですが今回は別の配管でした。あちこちで老朽化が進行しています。

写真を撮ってから業者に修理してくれるように頼みました。

2時間ほどで修理も終わり、アパートの住人は元の生活に戻ることができました。

これにて一件落着!

と、いきたいところですが、そうは問屋が卸(おろ)しませんでした。

問題のあった入居者の大学一年生の男の子が、よくポストに入っている水道修理業者のマグネット広告を冷蔵庫に貼っていて、そこに電話して来てもらっていました。

ナカシマ「業者さんは何をして帰った?」

男の子「階下の元栓を閉めてくれました」

ナカシマ「それだけ?」

男の子「あと、台所の水道蛇口の簡易浄水器を掃除してくれました」

なんのこっちゃ・・・。

ナカシマ「いくら払ったの?」

領収書を見せてくれました。消費税を入れて3240円!

但し書きには「屋外給水管水漏れの件」とあります。

やってくれました。

ナカシマ「なにかあったらまずは管理会社に連絡することになっているでしょ」

男の子「はい・・・。スミマセン」

緊急通報代は誰の負担?

その場は注意しただけで帰ったのですが、どうも気になります。

次の日、管理会社の担当者に聞いてみました。

ナカシマ「こんな場合はオーナーが負担してあげるべきですかねえ?」

担当者「難しいケースですね。オーナーの心情によりけりだと思います」

との回答でした。

県外から入居してくれている大学一年生。

彼の入居日に、たまたま定期清掃で物件にいた私は親御さんからも挨拶されました。いい家族です。

初めての一人暮らしでの生活。

イレギュラーな事態に自らの知恵と経験をフル動員した結果での行動だったのでは?

しかし、別にオーナーが負担するほどのことではないのでは?

いや、でも3240円といったらちょっとしたものが食えるぞ。単身アパート暮らしの大学生にとっては、この出費は痛いのでは?

いろんなことが頭の中に渦巻きます。

その二日後、定期清掃に行くとその男の子がちょうど大学から帰ってきたところでした。

ナカシマ「この前の3240円は私が負担します。次からは必ず管理会社に連絡してね」

お金を手渡すと男の子の顔がパッと明るくなりました。この数日、私と同じくもんもんとしていたのでしょう。

男の子「あ、ありがとうございます!」

引き換えに領収書を受け取りました。科目は修繕費で落とします。

できることはしておいたほうが気持ちいい

後日、管理会社の担当者から電話がありました。

「宅建試験の勉強中、参考書に似たような事例が紹介されていました。このようなケースでオーナーが知らん顔していた場合、民法上訴えられることもあるそうです」と教えてくれました。私も管理会社も勉強になります。

法律上どうなのか、人道上(じんどうじょう)どうなのか、とか難しいケースが往々(おうおう)にしてあります。その時々のオーナーの判断力が試されます。

火災保険が効いた!

10月下旬という「秋」の水回り事故で、まさかと思われるかもしれませんが凍結事故として扱って頂けて42000円の修理代実費が火災保険で賄(まかな)われました。

私が撮った写真、修理業者への保険会社からのインタビュー、保険代理店の働きかけにより「昨季の寒波の影響で凍結した樹脂配管の膨張が、今回の事故の原因である」と認定されたそうです。

何事もダメもとでやってみるものですね。

△3240円どころか、すごく儲かった気分になりました。

終わり

スポンサーリンク












コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください