人生、悲喜こもごも
不動産投資家は、所有する収益物件の大家であり、不動産賃貸事業経営者です。
家賃収入が毎月、通帳に振り込まれているのを確認しては喜び、入居者トラブルや設備不具合が発生すれば悲しみます。
「空室に入居申し込みが入りました!」と聞いては喜び、退去連絡があれば悲しみます。
専業大家なら、自分で自由にスケジュールを組める身分であることを喜び、苦境に立ったり、暇すぎて困ったりした時には悲しみます。
一方、入居者も「悲喜こもごも」あります。
若い学生が生まれ育った地元・親元を離れて、安アパートを借りて一人暮らしを始める。
最初のうちはホームシックになって悲しみますが、一人暮らしに慣れてくると、なんだか大人になった気がして嬉しくなります。うるさい親が近くにいないので自由に振る舞うことが出来ます。
今日は「二つ目の物件」で、そんな私立大学生の男の子の退去立会いの日でした。
なんと、滞納していた!
毎月、管理会社からは問題なく入金されていましたし、この学生の隣に住むおばさんからも「愛想のいい子よ」と聞いていましたから、まさか滞納していたとは思いもよりませんでした。
家賃保証会社の担当者も退去立会いに関西方面からわざわざ来ていましたが、20万円弱、滞納していたとのこと。およそ半年分の家賃です。
どうやら、父親の自営業が躓(つまづ)いて母親のパート収入で学費や家賃を払っていたが、それも儘(まま)ならなくなってギブアップしたそうです。
本人は、奨学金を受けていたそうですが、それは”別のコトやモノ”に使っていたとのこと!
今後は分割返済
地元に就職先を見つけたらしく、家賃保証会社立て替え分や奨学金の返済は、12月からもらい始める給料を当てるとのことです。
家賃保証会社は、退去立会いで発生する契約書規定の原状回復費用と、短期解約違約金(二年未満で退去なので家賃一カ月分)を合わせた10万円弱も立て替えます。
合計で30万円弱を一万円ずつ、毎月返済していくそうです。二年以上、かかりますね。
悪びれる様子もない
管理会社の担当者も言っていましたが、退去当事者の男子学生(中途退学するので、正確には学生ではない)は21才ですが、コトの重大さをあまり認識していないようです。
我々が到着するまで外でタバコをふかし、関係者を認めても挨拶するでもなく平然としています。
管理会社から退去精算金の説明を粛々と受け、書類にサインしてカギを返却して帰っていきました。
私はこの時に初めて彼を見たのですが、特に不良っぽい風貌(ふうぼう)ではなく、ごく普通の青年に見えました。
ということは、今回、こういう事態に陥った原因は下記ではなかろうかと推測できます。
「家庭で、金融リテラシー教育があまり為(な)されていなかった」
本人が困ることになる
日本人は昔から、”お金(かね)”にまつわる話題を家庭でもどこでも避ける傾向にあります。
“卑(いや)しい”とか”汚(きたな)い”とかの理由で。
そして、家計が困って消費者金融などに頼るときも人目を憚(はばか)ってコッソリと利用する。
子供はもちろん、親兄弟、親戚にも黙って”家庭内自転車操業”を繰り返すハメになり、結局、親戚や親兄弟、子供に迷惑を掛けることになる・・・(←うちの親がコレでした)。
こうしてお金を扱うリテラシーが低いと、遅かれ早かれ”赤っ恥”を世間に晒(さら)すことになるのですが、不思議と大昔から現代に至るまで、日本の一般庶民はこれを繰り返しています。
まとめ
まず、「大学に進学する」ことの前提として、親(=家)のカネをアテにしないことです。
奨学金とアルバイトで自分の生計を賄(まかな)う自信があるならば大学に進学しても良いが、その自信がないなら高卒として働くべきです。
来春、大学生になりたがっている、うちの長女にはそれを口酸っぱく言い聞かせています。
もちろん、今日見聞きした事例も長女、二女に言って聞かせました。身近に、実際に起こったコトですから説得力が絶大です。
また、なにかの事情で家計が急に苦しくなったのなら、学費や家賃が払えなくなった、あるいはなりそうな時点で学業を断念して働くべきです。
親御さんも子供さんも、どれほどの人々に迷惑をかけることになるのか、想像してほしいものです。
終わり
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