社会保険とはどういうものか

法人経営でのデメリット

不動産賃貸事業を法人で運営されている方、あるいはこれから法人で運営する予定の方向けの記事です。

法人での不動産賃貸事業経営はメリットが多いです。

経費にできる項目が多い、金融機関の信用が増す、法人向け生命保険で節税が可能、比較的安い法人税+社長は役員報酬で年末調整・・・。

ちょっと挙げるだけでもこれだけ書けます。

反面、デメリットもあります。

設立に手間とお金が掛かる、顧問税理士が必要、オーナー自身が帳簿付けするか経理要員を雇用する必要あり・・・。

そして意外に情報が少ない、下記があります。

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社長一人法人でも”社会保険”に加入する義務がある

これをそのまま杓子定規に受け入れたら設立初期の法人は大きな痛手です。

毎月、会社としては数万円出費が増えることになるでしょう。

そして不定期に最寄りの社会保険事務所から、加入催促(さいそく)の通達が郵送されてきます。

ここで「社会保険」について復習したいと思います。

社会保険とは

社会保障上、国民の遭遇する事故・災害などによる損害の補填(ほてん)および生活の保障を目的とする強制保険。

通常、保険料は国家・事業主・国民(従業員)の共同負担。

日本では健康保険・国民健康保険・労災保険・雇用保険・各種年金制度などがこれに当たる。公保険。

(広辞苑第六版より引用)

サラリーマン、OLなどの”勤め人”をある程度、続けていらっしゃる方は御存知かと思いますが、これらの保険料を毎月、雇用主(企業)と従業員の折半(せっぱん)で納めるのです。

従業員の側であれば所得税の源泉徴収とともに、これらを毎月差し引かれているのであまり意識されないと思いますが、雇用する側に回ると、途端に理不尽な制度に見えてきます。

ましてや設立して2、3年しか経たず資金繰りが苦しいであろう、従業員を一人も雇っていない”社長一人のみ法人”にも、”世界のトヨタ”や”世界のユニクロ”と同じように社会保険への加入を強制する制度なのです。

普通に考えても、あまりにも理不尽な制度のため加入率は全法人の約80%だそうです。

加入率向上のために、近年、国は罰則規定を追加するなどの対策を講じているようですが、おそらく事態の改善は難しいでしょう。

罰則もなにも、”ない袖は振れぬ”です。

加入した後に脱退した法人もある

一度加入した中小企業の社長が最寄りの社会保険事務所に解約に出向き、職員に考えなおすように説得されかけましたが、解約書類を置いて無視して帰った、という話も聞いたことがあります。

おそらく資金繰りに窮した末(すえ)の行動でしょう。一度、加入したということは「”お上(かみ)”の言いつけに従った”生真面目な”性格の経営者」であると推察されます。

勤め人の方々でも”資金繰り”という言葉自体は耳にしたことがあると思いますが、個人事業主でもいいですから、なにか事業を自分でやってみないと実感は湧かないものです。

支払いが滞りそうな事態が迫ってくると、冗談抜きで”冷や汗”が出ますから。

会社が軌道に乗って毎年順調に利益を確保できるようになれば加入することも視野に入ってきますが、そうなるまでには5~10年は見て頂きたいと思います。

ちなみに社会保険に加入しておらず、設立後5年の間に倒産する会社も一定数あります。

それくらい、スタート直後の法人にとって「社会保険制度への加入」は優先順位の低いことなのです。

“失われた30年”とサラッと受け流さずに、日本国はもう少し”新規企業を育てる”、”ベンチャーやスタートアップを応援する”ということの意味を真剣に考える必要があると思います。

もうひとつ、電子辞書から紹介して本記事を終わりたいと思います。

社会保険

傷病、老齢、死亡、失業など生活困難をもたらす事故に備えて保険料を拠出し、事故が発生したときに給付を受けるという社会保障の仕組み。

保険の技術を利用しているが、被保険者は強制加入であり、給付反対給付均等の原則(保険料が保険金の額と事故発生の確率に比例するという原則)が所得再分配の必要性から必ずしも守られておらず、また、国の管理と国庫補助が行われるなど、民間保険と異なる。

(現代用語の基礎知識2014年版より引用)

まとめ

日本活性化に寄与しようとしている実業家の”やる気を削(そ)ぐようなルール”は即刻、見直して頂きたいものです。

・社長一人法人の加入は任意とする。

・法人設立後、丸5年経ってから加入義務が生じる。

・営業利益○○円以上の企業を対象とする。

などのルールを設けたほうが加入率向上に寄与すると思います。

終わり

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