現状の何を疑ってかかるか?

経営に必要な「改善する」気構え

”不動産投資は、れっきとした「事業経営」である”

とはよく言われることです。私自身、本当にそう思いますし、一人で気楽に法人を運営できる、ある意味「気楽な事業経営」です。

入退去があるので、若干の変動はあるものの、入居者からクレームが出ないように普通に運営していれば、毎月ほぼ決まった額の家賃収入が指定の口座に振り込まれます。

そういう、比較的安定している事業特性から、ともすれば現状に満足してしまい「改善」する気構えを持てなくなります。

「改善する必要があるの?!」と思われるかもしれませんが、やはり「事業」である以上、「現状維持=衰退への序章」と言えます。

特に私(の法人)のような一匹狼タイプの不動産投資家は、周りに指摘やダメ出ししてくれる人が居ない分、自分自身がしっかりと改善する意識を持っていないと、今まで苦労して築いた有形・無形の実績がガラガラと音を立てて崩れ去ることになりかねません。

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「改善」とは「疑ってかかる」こと

サラリーマン時代は電機メーカーや省力化機械製造の会社に勤務していた私は、「改善」をすることが仕事でした。創意工夫も必要ですが、そうそう頻繁に斬新な機構を創造できるものではありません。また日本人は、先人が開発したモノを真似たり、改善したりするのが得意な人種のようです。名だたる電機メーカーや、自動車メーカーの歴史を見てみると一目瞭然です。

現場勤めの時も、機械を設計する時も「改善すること」が仕事ではありましたが、取りも直さず私自身、改善することが好きでした。性に合っているのでしょう。メーカー勤務時代は改善提案をガンガン書いて提出し、報奨金で良い小遣い稼ぎができていました(笑)。

そんな、大好きな「改善」ですが、悪い言い方をすると「現状を疑ってかかる」ということになります。機械の機構等のハード面にしろ、仕組みやシステム等のソフト面にしろ、現在まで、当たり前に行われてきているモノやコトを否定するところから「改善」は始まります。

管理会社に当たるのはお門違い

「改善」する上で注意しなければならないのは、「人」や「企業」に直接働きかけるコト。これは要注意です。

我々、不動産賃貸経営者は事業規模になると、どうしても「管理会社」という存在が必要になってきますが、管理報酬を毎月支払っている分、ともすれば”横柄(おうへい)な態度”になりがちです。

私が懇意にしている管理会社は、きちんとした会社組織で岡山でも一目置かれているしっかりとした会社です。賃貸・管理・売買と三拍子揃った不動産会社で、現在は二代目が社長を務めていますが、”ありがちな二代目で危うい”という感じもなく堅調に経営されていると感じています。

ひとつ、気になるのが「多めの会議」です。

営業や管理の担当者に電話すると「会議中で出られない」ということが多いのです。

しかし、ここで「会議、多すぎじゃね?減らしたほうがいいんじゃない?言いにくかったら、私が社長に言ってあげようか?」などと相手に言ってしまうのは早計です。

ビジネスパートナーとは言え、あくまでも「会社」対「会社」。他社には他社の事情や「やり方」があるので、ここはグッと堪(こら)えるべきでしょう。自分の都合を押し付ける「面倒くさいオーナーさん」というレッテルを貼られるのがオチです(苦笑)。

改善事例

不動産賃貸経営で「改善」できる項目は多岐にわたります。

入居促進(あるいは家賃アップ)の項目だけを見ても、

・賃貸仲介業者への広告料増額

・温水洗浄便座への変更や、和室を洋室にするなど室内のグレードアップ

・宅配ボックス、インターネット無料化など物件自体のグレードアップ

・フリーレント、初期費用減額などのキャンペーン

・家電三点セットやWi-Fiルーターなどのプレゼント戦略

などなど。

また、駐車場不足に悩んでいる物件で、駐輪場がほとんど使われない、という実績があるなら思い切って「駐輪場を撤去して駐車スペースを一台分増やす」という改善手法も取れます。(これは、私の物件で実際に実施しました)

例えば「振込手数料」

最近あったエピソードです。

毎月の家賃収入振り込み手数料は、通常オーナー持ちですが高い金融機関だと880円取られます。安いところで330円ですが、多いのは660円でした。

これを、「三行に振り込んでもらっているので、なんとか考えてもらえないでしょうか?毎月のことですし、振り込み手数料サービスの管理会社さんもありますので」と交渉したことがあります。その後、担当者が会議にかけてくれたみたいで880円の振り込み手数料が660円になったことがありました。

さらにこの秋、全国の金融機関で振り込み手数料が減額されるニュースを聞きかじった私は、「もしかしたらまた安くなるかも?」と密かに考えていました。

案の定、件(くだん)の管理会社ではない、他の会社さんが事前にメールで送ってきた家賃明細書の振り込み手数料の欄が、660円から550円に下がっていました。それに気付いた私が担当者に理由を尋ねると「金融機関が下げたのでそれにスライドしただけです」とのこと。管理会社自身は痛くも痒くもないのです。

このことを早速、件の一番利用している管理会社の担当者に告げて検討してもらいました。

すると、会議の結果、660円だった手数料を10月分からはすべて550円にするとのこと!

言ってみるものです。毎月のことですし、これから何年も付き合うことになる定額料金ですから。

さらにさらに、件の管理会社から連絡あり。

「今月(11月)から振り込みをネット予約システムでするようになったので一行あたり258円でよくなります」

とのこと!!

振込手数料を気にする大家がいたからかどうかわかりませんが、こういう改善事例もあるという御紹介でした。会社側も、できないことは「できません」と言ってきますし、その時は「ああ、残念だったな」で終われば良いだけのことです。ダメ元で言ってみることも時には必要だと思います。

まとめ

「こんな細かいことを言って嫌われないだろうか?」と気に病む必要はありません。

「恋愛」ではありませんので。あくまでも、「ビジネス」ですから。

ただ、「面倒くさいオーナー」というレッテルを貼られたら商売上困る方は少し気にして言動したほうが良いです。例えば、私もそうですが比較的狭いエリアに特化して不動産投資している、いわゆる”ドミナント戦略”を採っているオーナーさんは、その地域で悪い噂は立たないほうが良いでしょうね。

終わり

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