目 次
掘り出し物は現れるか?
今年に入ってから、比較的、融資が付きやすい「築浅、重量鉄骨造もしくはRC造の一棟アパート」を探していますが、上半期が終わろうとしているのにこれと言ったモノにはお目にかかりません。
とは言うものの、ちらほらとそれらしき物件もネット上に出てきています。
高級住宅地の物件は高嶺の花!
私が活動エリアとしている岡山市で、高級住宅地の一角に数えられる中区「KNTM」。
先日、たまたま、本当にたまたまネット検索で見つけた物件がそのエリアのものでした。
私は通常、楽待、アットホーム、住まいる岡山(ローカルな不動産ポータルサイト)を主にチェックしているのですが、その日はなんとなく「LIFULL(ライフル)ホームズ」を覗いたのです。
すると、重量鉄骨造、築9年、駐車場9台分ありの1D K×6戸が売りに出されていました。
現況、満室!
しかし、お値段なんと「8000万円」超え!!
利回りはたったの、5.5%!!! まるで新築物件です(苦笑)。
現地に見に行くと、たしかにキレイだし、まだ15年ほどは「大規模修繕が不要」な感じです。
最近、一般住宅で流行りの「汚れや紫外線に強いセラミック製」の外壁のようです。
一応、法務局で謄本を取得して、売買仲介業者に電話して、話をしました。
もしかしたら、何か事情があって現金化を急いでいて大幅指値が可能かな~と淡い期待を抱いてのコンタクトだったのですが、脆(もろ)くも崩れ去りました(泣)。
値段下げてまで売るつもり皆無とのことで転進。
不人気地で出た物件
それと前後して、以前とある物件で問い合わせしたことがある業者から一通のメールが着信しました。
それは、少し前からアットホームというポータルサイトでお目に掛っていた物件です。
重量鉄骨造、2D K×6戸。駐車場は11台分あり、築22年。現況、一戸空き。
売値2500万円。表面利回り12%! なかなかお目に掛れない数字です。
しかし岡山市北区の北東方面、若干というか、かなりイメージ的によろしくない地名。
そのため数字などのスペックに気をそそられながらも、あえてスルーしていましたが、今回、話したことのある業者からメールが来たことで少し突っついてみようかなと思い、現地を見に行きました。
路線価の付いていない場所(=倍率地域。いわゆる”田舎”)で、しかも土地柄が良くないので出口戦略がとれるかが課題の物件です。
その業者さんは元付ではなく、まだ情報が乏しかったので、アットホームに掲載している元付業者にコンタクトをとることにしました。
まずはポータルサイトから問い合わせ
お決まりの文言を並べて問い合わせます。
お世話になります。岡山市で一棟ものアパートを運営しております、ナカシマと申します。
本物件の購入を検討したいので、下記資料をPDFにてメールで送付頂きたいです。
・概要書
・レントロール(入居年月日、属性、家賃保証会社の有無など含む)
・課税証明書、または固定資産税通知書のコピー
・土地と建物の登記簿謄本、公図
・図面類、間取り図
・オーナー支出関連費用一覧
以上、よろしくお願いいたします
すると、数分後に電光石火のごとく、各種資料とともに元付業者からメールが届きました。
資料をお送り致します。固定資産税、謄本面積等は、物件概要をご参照下さい。
本物件は、DKさんの一括借り上げの為、オーナー支出額は不明です。
また、所有権移転後、DKさんの借り上げは無くなりますので、家賃保証等も無くなります。
ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください
しかし、課税証明書や謄本がありません。
課税証明書は、基本的に金融機関に融資打診するために必要な書類です。
問い合わせが多すぎて、ウンザリして対応が雑になったのか、まだ身元が定かでない相手にそこまで親身に対応する必要はないという判断なのか。
結論としては、その両方でした(苦笑)。
そのメールへの返信で、鉄骨造とあるが、重量か、軽量かを尋ねました。
その返信が下記。
お世話になります。
“登記簿上は、「鉄骨造」となっている為、「軽量鉄骨造」ではなく、「重量鉄骨造」の可能性が高いですが、実際は、不明です。おそらく金融機関は、登記簿上の判断になると思います。
宜しくお願い致します”
登記簿に「鉄骨造」とあれば「重量鉄骨造」のことだと後で知ったのですが、それにしてもメールの文面だけみると「やけに塩対応だなあ」と感じました。
“両手取り”を阻止するか?
このまま、元付業者と話を進めて、成約ということになれば、その元付業者は仲介手数料を売主・買主の双方から得られる”両手取り”になります。
二往復のメールのやり取りでカチンと来た私は、最初にこの案件を知らせてくれた業者を買主側の仲介業者にして”片手取引”にしようかとも考えました。
しかし落ち着いて考えてみると、元付業者と話したほうが指値は通りやすいので、一度会ってみることにしました。
元付業者の事務所の住所は私の所有物件に近く、よく知っている地域です。
メインバンクの担当者の一言
今日、△△信用組合の担当者をお店に訪ねて、2500万円、12%の物件資料を持って行って一通り、今、得ている情報と私の見解を説明しました。担当者は、資料のコピーを女性スタッフに命じたあと、私に言いました。
「諸費用は用意して頂きますが、2.1%変動金利、22年、2500万円の条件でフルローンは可能だと思います。ただし、この物件の融資を引き出すには、ナカシマさんが本当にこれを欲しい根拠、そして入居者付けに困らない根拠、出口戦略も取れる根拠を作文して頂く必要があります」
「作文ですか・・・」
「今までは我々、顧客担当の作文だけでいけましたが、今の御時世では経営者自身の言葉で書いた書面が必要です」
そう、きっぱりと言われました。
「・・・金融機関も”商売”ですもんね」
「ナカシマさんたち経営者、融資実行者の我々、双方にとって”失敗しない”ことが大事です」
まっすぐ、目を見て言われました。温厚な人情派、30代半ばの若い営業マンで、顔は微笑んでいましたが、眼光は鋭かったです。
会ってみると良い人
△△信用組合を出てから、元付業者の事務所に向かいました。10分ほどで着きました。
幸い、社長らしき方が事務所内に居るのが、ガラス越しに見えました。
「こんにちは、○○物件の問い合わせをさせて頂いているナカシマです」
「ああ、ようこそ。お掛けください」
40代と思しき、温厚そうな社長さんです。ずっと不動産業で、13年前に独立されたとのこと。
今回の物件に関しては、利回りが良いことと、建物構造が重量鉄骨造で融資審査に有利なことから問い合わせが殺到しており、冷やかしまがいのメールも多く、辟易(へきえき)としているそうです。
声も聞いていない段階だと、熟練のオジサンなのか、箸にも棒にも掛からぬ若造なのかさえもわかりませんものね。個人情報も含む情報を安易には流せないのでしょう。
「ナカシマさんのように、こちらに訪ねて来てくれる人は、まず、いませんね」
嬉しそうにメールでは書かないような、この物件のレアな情報を教えてくれて、課税証明書もコピーをくれました。
例えば、このあたりのイメージは悪いかもしれないが、岡山市の東方と南方に夫婦の職場が分かれているケースが結構あり、中間地点としての住処(すみか)の需要があるとのこと。
また、なぜかこのあたりは田舎にもかかわらず、企業が多いのです。法人契約を狙えます。
ナカシマ「この辺は、なぜ、こんなに企業が多いのでしょうねえ・・・」
元付業者「えっ? 準工業地域だからです・・・」
目から鱗(うろこ)が落ちました!
恥ずかしながら、不動産投資を始めてから今までの四年間、”用途地域”を気にしたことがありません(汗)。
一戸ある空室もあと数日で原状回復工事が終わるので、終わったら連絡しますとのこと。内見させて頂きます。そして、物件の諸条件と金額が折り合えば、本気で金融機関向けの作文を書いて、購入にまい進するかもしれません。
まとめ
SNSやメールで、情報のやり取りには「便利」な世の中になりましたが、その「情報」を扱い、吟味したり判断したりするのはリアルな生身(なまみ)の人間・・・。
そんなことを気付かせてくれた、初夏のような、蒸し暑い一日でした。
終わり
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