なにかが起こっていた
先日、二女ががんばり屋さんという記事を書きました。
長女もがんばり屋なのですが、そこは個性を持った人間ですから得手不得手(えてふえて)がどうしても生(しょう)じます。
長女は勉強こそ苦手ですが明るい性格で周りを笑わせたりできますし、人望が厚く、中学時代から部活のキャプテンを務めたり学級委員を引き受けたりしています。
「進路を決める」ということ
ところが高校三年生になろうかという時期になると、どうしても進路のことが気になりだして親も子も無意識のうちにピリピリしています。
そして二女が大阪のテーマパークに遊びに行ったあとに、長女も友達と行きたいと言ったのですが「急に言うなよ。それに遊びに行ける状態か?」と暗に成績のことを私が匂わせたのです。
「勉強が苦手なのに大学に行きたいなんて、よく言えるな」というのが私の本心です。
長女の言い分は「今はまだやりたい仕事がわからないから大学に行っている4年の間に見つけたい」です。
それもわからないでもないですが、どうしても「大学=勉強の好きな人が行く場所」という私の概念が邪魔をします。
最近、そんなやり取りが数回ありました。
妻も長女の進路については私と同様、気に病んでいて顔や態度に出ていたと思います。
割れた洗面器
おとといの夜、長女が風呂から出たあと、家族最後の妻が風呂に入ったのですが洗面器が割れていたと翌朝、聞かされました。
風呂場を見ると確かに三つに割れています。
長女が誤って落として割れたのかなと夫婦で話していました。
しかし、テーマパーク行きを禁止したあとの長女の言動がいつもと違っていたことを私と妻は不審に思っていたので昼、部活を終えて帰宅した長女に話を聞くことにしました。
泣き崩れる長女
「昼ごはんを食べてからにしたら」と言う妻を無視して、長女を和室に正座させて「この洗面器は割れたのか、それとも割ったのか?」と静かな口調で問いました。
黙ってうつむいたままの長女。
「あとから風呂に入った母さんが困ったよ。”割れてしまった、ゴメン”くらいは言うべきだったんじゃないか?」
なにを言ってもうつむいて黙っています。そのうち長女の両目から大粒の涙が落ち始めました。
何度か問いかけましたが、あまりにも真相を喋らないので堪忍袋の緒が切れた私は「割ったんか、割れたんか、どっちなら!」と座卓を両こぶしで叩きつけて怒鳴りました。大声と大きい音にビックリしてリビングにいた妻が飛んできました。
すると長女は「割ったんじゃ!むしゃくしゃして!!」と大声で泣きながら言いました。そして、その場に泣き崩れました。
長女はそんな行動をとる女の子ではないと思っていた私と妻は驚いたと同時に、ここまで長女を追い詰めていた自分たちを恥じました。
負の要素が重なった結果
そのあと、少し落ち着いた私たちは長女からいろんなことを聞き出すことができました。
そこでわかったことは”短期間にいろんなことが重なり過ぎた”ということです。
・二女がテーマパークやコンサートに行くことを楽しみに公立高校受験を頑張り、見事難関を乗り越えて合格した。
・二年前、長女はその高校が不合格になり、すべり止めの私立高校に現在通っている。
・来年、大学進学したいけど学力が伴わない長女に親も本人もどうしたらいいのかわからずイライラしている。塾や家庭教師、通信教育、どれをやっても効果がなさそうと親も本人も思っている。それら以前のレベルの問題と。
・妻はそれなりに仕事が忙しく、私も空室が4戸出来るのでバタバタ、イライラしていた。
・二女の入学準備や空室対策費でなにかとお金が入り用(いりよう)なのに長女がのんきにテーマパークに遊びに行きたいと言っているように聞こえた。
・実際は、長女と友達の部活等のスケジュールで同じ日にたまたま空きができたので、テーマパークに行こうという話になったのに親が聞き入れてくれなかった・・・。
長女はお年頃
まだ、あります。
・周りの友達はかわいい子が多くてボーイフレンドもいるのに私は可愛くないし、ボーイフレンドもいない。
・頭も悪い。
・私にはいいところがひとつもない。
と泣き叫びました。
「そんなことないよ。いいところたくさんあるよ」と私も泣きながら言いました。
まず、洗濯物を毎朝、干す係をしてくれています。これは、妻も私も本当に助かっています。
それに、長女も二女も中学生の頃から上げ膳、据え膳しなくても自分でおかずを皿に盛り付けて食べることができます。食後の後片付けも。
悪く言えば単なる親の手抜きなのですが、子供にとっては「自立」するのに役立っていると言えます。
あとはやはり家族の盛り上げ役ですね、長女は。場を和ませたり盛り上げたりしてくれます。
実用的な部分では、鉄道の時刻表を見てくれたり、旅行の段取りを考えたりするのが得意というか好きですね。
見た目も、取り立てて美人ではないですが、ブサイクでもないです。普通の丸顔というか、個性的でかわいいと思います。(←ほぼ、親バカかもしれませんが)
考察
18才になる年ですから、まず多感。そこに私と妻は気付いていませんでした。
長女は大丈夫だろうと。明るくてしっかりしている。ように見えるだけ。実際は「高校三年生の女子の心」というのはガラス細工のように繊細なんですね。
私は自宅で自営業をしているからまだ早く気付けましたが、これがハードな勤め人の親御さんなら気付くのも対処も遅れていたでしょう。
まとめ
大学院を出ている兄(長女から見て伯父さん)に電話で相談すると、「そんなに焦って進路を決めることないよ。浪人してもいいし、フリーターをしてやりたいことを見つけるでもいいし。
それより、いろんなコトやモノを見て体験すれば打ち込むことがそのうち見つかるから。あちこち行かせてあげたらいいんじゃないかな」とのことでした。目から鱗(うろこ)が落ちました。
結局、一日遅れで明日、長女はテーマパークに友達と行くことになりました。
とてもスッキリした、明るい笑顔が長女に戻りました。もちろん、家族にも。
2020.1.22.追記
この春、高校を卒業する長女は、大学進学を推薦での試験で目指していましたが、AO、推薦の両試験とも落ちて、自分の今の実力を理解しました。
そして、就活に切り替えて、従業員2400人の会社に就職内定しました。
大学受験にはそれなりにお金がかかりましたが、本人も親もできるだけのことをやって、最終的には十分納得できる結果になったので、”ムダ金”ではなかったと思います。
終わり
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