先日の記事のその後
弊社所有物件のあるエリアの町内会から「ゴミステーションの維持管理費について年間2000円を支払ってほしい」との申し出についての経過を御報告します。
問題のおさらい
詳細は先日の記事を見ていただくとして、概略を説明します。
・当該アパートの対象ゴミステーション(鉄骨造)は町内会が昔作ったものである。
・ゴミの回収業務は地方自治体がやっている。
・ゴミステーションの維持管理(塗装、修理など)の費用は町内会の中の担当エリアの分会が積み立てたものを当てている。
・今までエリア内世帯のうち、当該アパートからのみ「ゴミステーションの維持管理費」を徴収していなかった。
・近年、このことに対してエリア内住民から不満の声が高まっていた。
・町内会費(月額400円/戸)は払わなくていいから、ゴミステーションの維持管理費(”年”額200円/戸)だけ支払ってほしい。
まとめると、こんな感じです。
書面にすることはできない
管理会社を通して受けたこの事案を私は、はじめ町内会費の徴収かと思い「払うつもりは一切ないと突っぱねる」ように管理会社を通して町内会側に言ってもらいました。
すると町内会費ではない、オーナーと話がしたいとのことだったので電話で担当者と話をすると、ゴミステーションの維持管理費を200円/戸×10戸の2000円だけ支払ってくれればよいとのことでした。
「町内会費は取らない、ゴミステーションの維持管理費2000円を年一回払うだけでよい」というのは、かなり譲歩してくれていることがわかりました。
しかし値段を釣り上げられる、会長が交代した時に態度が豹変する事態など、あとでゴタゴタしないために契約書のたたき台を作って先方にファックスしました。
それをエリア分会の幹部会にかけたところ、文句(反対意見)が少なからず出たということです。
言い分は、「年額2000円という他の分会よりも安すぎる金額をお願いしているので、書面が残ると他の分会や住民の目に触れることになり不満が噴出するので困る」ということです。
知人に意見を聞いてみた
先輩大家の知人にこのことを聞いてみると、やはりこのような町内会がらみの問題は「落としどころ」が重要とのことです。
・町内会など一般的な住民は、不動産業界で「契約書」を見慣れている者と違って、金額や「裁判所云々」という文言を書面で目にすると”構えて”しまう。
・このような交渉がケンカ別れしてしまうと、後々面倒なことになる。
・ゴミステーションを使わせてもらえなくなれば、自分のアパート敷地内に新たにゴミステーションを作り、自治体に回収してもらうようにお願いしなければならない。
※アパートの敷地に余裕がなければ困るし、仮に作れたとしても「入居者がきちんとゴミ出ししてくれるか」とか、共用部の清掃項目に「ゴミステーションの掃除」が加わる。
・アパート運営では白黒はっきりしないといけない事案もあるが、グレーで折り合って運営していかなければならない事案もあり、今回は後者である。
・「領収証」もある程度、契約書の意味を成す。
まとめ
先ほど、エリア分会の担当者から電話がかかってきて、上記のような理由で書面にはサインできない旨を伝えてきました。
領収証は発行してくれるとのことなので、それで了解しました。
相手と状況を判断して「ケンカ」する場面と「軟着陸」する場面を見極める力も、不動産投資には必要ですね。
最後に参考になるかどうかわかりませんが、私が作った契約書のたたき台を下に貼って本記事を終わりたいと思います。
ゴミステーション維持管理費 契約書
収益物件名
物件所在地
2019 年 月 日
甲と乙は、上記物件(以下、「本物件」という)に係るゴミステーションの利用にあたって、以下の通り合意する。
甲(○○町内会)
住所
氏名 印
乙(本物件所有者)
住所
氏名 印
第一条(目的)
- 本契約は、甲所有の本物件最寄りのゴミステーションを、本物件入居者が利用するにあたり、相応の維持管理費を乙が甲に納めることを目的とする。
- 納めた持管理費は、甲が当該ゴミステーションの再塗装、補修等の修繕費に充てる。
第二条(支払管理料)
1、本物件入居者が利用するために、乙が甲に支払う当該ゴミステーションの維持管理費(以下、「管理費」という)は年間2000円(税込)とする。
2、管理費の内訳は、一戸あたり200円×10戸=2000円である。
3、管理費は、空室が発生しても減額はしないものとする。
第三条(免責)
- 甲は本物件の入居者から直接は徴収しない。
- 甲は上記の管理費以外に町内会費、または溝掃除、草刈等の行事および不参加弁済、その他町内に関わる費用、代金等を本物件入居者および乙に一切、請求および徴収はしないものとする。
第四条(支払方法)
- 管理費はその年の分を、毎年7月末日までに乙が甲に現金手渡しにて支払うものとする。
- 甲は管理費を受け取った証として乙に領収証を発行する。
- 管理費は数年分を一括して支払うことができる。ただし、乙が本物件を売却した際の翌年以降の残金分は乙に速やかに返金するものとする。この場合、乙が甲に返金受領証を発行する。
第五条(本物件売却時の契約について)
- 乙が本物件を売却する場合には、本契約は解除するものとする。
- 本物件売却後は、新しい所有者と甲が新規に契約等をするものとする。
第六条(規定外事項)
1、本契約に定めのない事項については、甲および乙は誠意をもって、協議の上解決するものとする。
2、本契約に関して紛争が生じた場合は、岡山地方裁判所を管轄裁判所として解決を図ることとする。
第七条(開始時期)
1、本契約の有効開始時期は、2019年とする。
以上、この契約の証として本書2通を作成し、甲および乙が記名押印のうえ、各1通を保有する。
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