気になる”におい”
いつものように平日の昼間、月二回の定期清掃を実施していると妙に糞尿のにおいが鼻につきます。思わずその物件の浄化槽に目をやりました。
「あたたかい季節のせいか、やけに臭(にお)うなあ」
ちょうど浄化槽の近くの部屋が3カ月ほど空室のままです。
原状回復工事は家賃に見合うレベルまで行っており、定期清掃のたびに空気の入れ換えをしているし小さな虫の処分も怠っていません。
「もしかしてこの臭(にお)いのせいかなあ」と思い、話したことのある仲介業者さんにそれとなく電話で尋ねてみました。
「たしかにあの臭いは若干、入居者付けに影響があるかもしれませんねえ」と回答。
なんとかしなければ・・・。
浄化槽には通常、大2個と小1個、計3個のマンホールフタがあります。
そのフタにも鉄製と樹脂製があり、近年はほぼ樹脂製に置き換わってきています。
樹脂でも耐荷重性能が向上してきたのでしょう。フタに「1.5トン」とか耐荷重値が彫り込まれています。
その物件は築30年ほどの古いアパートなので鉄製のフタです。
さびているので、いつもボロボロと鉄くずが周辺に散らばっていて環境美化的にも気になっていました。
よくよく見ると、開けるために工具を引っ掛ける対角2か所の窪みが凹(へこ)んでいるだけのハズが、なんと朽ち果てて穴が開いているじゃあーりませんか!!
「そりゃあ、におうわな」
原因が判明したものの、さてどうしたものか。
少し考えて、車の中の部品カゴからなにかの時に取っておいたゴム足を数個取りだして穴に無理矢理詰め込んでみました。
どうしてもスキマができるし点検業者も作業しにくいと思うので、この案は即、却下です。
「・・・困ったなあ。浄化槽管理業者に頼めば新品の樹脂製を用意してくれるだろうけど値段、高いだろうなあ」
不動産賃貸事業を開始して2年半ほど経ちましたが、相当の運転資金をここまでつぎ込んできていて限界を感じ始めていた時期でした。
そろそろ、どの物件も満室にして安定稼働→投資資金を回収という図式に持っていきたいので支出は抑えねばなりません。
ひらめいた!!
とんちの「一休さん」ばりにアパートの敷地で腕を組んでウンウンと唸(うな)っていると、閃(ひらめ)きました!
「M設備に相談してみよう!」
数カ月前に自宅の下水道接続工事一式をやってくれた近所の工事業者です。
私は自宅も下水道に接続する気はサラサラなかったのですが、
ばっ気用の地中配管が損傷しているのが発覚して修理費がかなり掛かるのでそれならば下水道に替えようかと相成りました。
その時に工事をお願いしたのが、本管導入町内工事から声かけしていたM設備というわけです。
電話せずにいきなり、本社事務所にお邪魔すると見積もりから精算までお世話になった専務がおられました。
事情を説明すると「中古でよかったら裏にありますよ」と案内してくれました。
車が乗っても大丈夫な耐荷重のいろんなサイズの中古フタがたくさんありました。
下水道に切り替えて不要になったモノばかりで、数がまとまったら廃棄処分に出されるそうです。
ナ「いくらで分けていただけますか?」
M「ちょっと、社長と相談してきます」
専務が裏に消えると、測っておいたフタ寸法メモとメジャーを取り出して良さそうなものを選びました。もう一つ、フタが朽ちている物件があるので4枚ほど選定しました。
専務が戻ってきて「運搬とか施工を御自身でされるのならタダでいいですよ」とのこと!
中古のマンホールフタの値段は見当がつかなかったけど、1~2万円だったらいいなと思っていました。
「ありがとうございます!!」
と御礼を言って、愛車のエスティマの荷台にブルーシートを敷いてフタ4枚を積み、いざ物件へ。
しっくり収まる中古のフタを当該アパートの浄化槽に取り付け、もう一つの物件へ。
こちらは大2個のうち、1個はサイズが合わなかったので1個のみ交換しました。
合わなかったほうの鉄製のフタはまだ穴が開きそうにないので、まあ良しとしましょう。
撤去した重い3枚の鉄製マンホールフタをブルーシートに乗せてM設備の廃棄物入れの中へ。

↑一番手前が二か所、完全に穴が開いてしまっているマンホールフタです。
新車のエスティマなら別の車を手配しないと妻や娘から非難ごうごうですが、もはや13年目の車です。今回の運搬は躊躇しませんでした。
まとめ
今までも何度か書いてきたと思いますが、ちょっとした声掛け、立ち話が非常時にものすごい助けになります。
これが「リアル・コミュニケーションが大事」と口酸っぱく言われる所以(ゆえん)です。
正直なもので、臭わなくなった当該アパートの空室はまもなく入居者が決まり満室になりました。
終わり
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