物件検討資料の一つ、”公図(こうず)”
収益物件の売買で扱われる資料のうち、重要なものに土地と建物の”登記簿謄本”があります。
それと同時に”公図”を取り寄せると思いますが、中には重要視しない投資家さんもいらっしゃるかもしれません。
”資料好き”の私は大体、謄本と一緒に取り寄せます。
公図とは?
土地の売買に当たっては、登記所に備え付けされた地図が、隣地との正確な境を示す。都市部などでは、正確な測量に基づく地図の整備が遅れているため、暫定措置として明治時代の地租改正にともない作成された図面を使用せざるを得ない。その地図に準じる図面を指し、土地のおおまかな位置や形状を示す。国土交通省の調査によれば、調査対象の都市部で実際の境界とのずれが1メートル以上もあった公図(こうず)が6割もあったことから、公図のずれを解消するための是正に着手する方針。
現代用語の基礎知識2014年版より引用
こう‐ず【公図】‥ヅ
〔法〕土地の区画および地番を明確にするため登記所に備え置く図面。
広辞苑第六版より引用
相手先金融機関で引っかかった!
現在、売却活動を行っている「三つめの物件」ですが、本日、仲介業者から決済予定日の延期連絡が電話でありました。
延期の理由は、買主側の金融機関が”公図上で境界が未確定なので、その理由もしくは原因を明らかにする時間が欲しい”と言ってきたとのこと。
実は私も、この物件を購入した際に「変わった公図だなあ」と思った記憶があります。
対象物件とその周辺の区画形状が実際とあまりにも違っています。図面真ん中あたりの扇形(おうぎがた)の区割りなど存在しません。
さらに地番がズラズラと”+(プラス)”記号で繋げて記入されています。(冒頭画像を参照してください。図面下部に、正式な図ではない旨の注意書きがあります。)
公図の表題欄
↑通常の公図ですと、出力縮尺、精度区分、座標系番号又は記号の欄はそれぞれ数字や言葉、記号が入りますし、分類欄は”地図(法第14条第一項)”、種類欄は”地積図”などと記入されています。作成年月日欄にも日付が入っています。
二年前、購入時の融資付け金融機関からは何も公図に関して、指摘はありませんでした。
今回の仲介業者が言うには、「地方銀行や信用金庫クラスはそこまで気にしないが、”三菱”とか”住友”の冠(かんむり)が付く金融機関は気にすることがある」とのことです。
相続時の移転登記と同じくややこしい
昨今、全国ニュースにもなる「空き家問題」で登記簿の未整備は、もはや国を挙げての大問題の様相を見せてきていますが、公図もしかりのようです。
対象地域の境界を、対象所有者同士でお互いの境界を確認・同意する作業を過去に終えているはずが、なんらかの齟齬(そご)が生じてなおざりになっているパターンがたまにあるようです。
物件の売買時に、売主・買主同意の元ですり合わせを実施すればいいようなものですが、当事者を順に納得させて、その地域すべて丸く収めるには数カ月を要するとのこと。
道路や山林など、公(おおやけ)の土地も絡んできますから、大変な作業量です。
それがわかっているから、ほとんどの金融機関も不動産業者も深く突っ込まないのでしょうが、あとでゴタゴタしたくない大手の金融機関はキッチリ確認する場合もあるのでしょう。
まとめ
岡山は、この手の曖昧な公図が結構あるそうです。
他県はどうかわかりませんが、後々トラブルに巻き込まれる要素を少しでも減らしたい場合は、「このような”特殊な公図”の物件は敬遠する」のも手です。
終わり
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