昔は「登記済権利証」だった
土地や建物の不動産を取得すると、”たしかにあなたのモノですよ”と御国が「お墨付き」を与えてくれる書類が「登記識別情報」です。(冒頭画像を参照してください)
裏表紙にはこのような注意書きがあります。
平成18年以前は、「登記済権利証」という書類でした。
↑私の自宅のモノです。土地と建物の各一通。平成8年取得なので、識別情報の無かった時代でした。久しぶりに中を見てみると、当時の登録免許税は千円だったようです。
半透明の丈夫そうな紙に所在地、建物の種類・構造、面積等、必要な事項が書かれています。
所在地などは手書きで(笑)。
識別情報の存在意義
その不動産の所有者本人しか持ち得ない「登記済権利証」または「登記識別情報」の提出を義務付けることで、他人が本人になりすまして名義変更など手続きすることを防止しています。
実務としては、本人または司法書士が法務局で、この登記済権利証、所有者の実印での申請書類への捺印、印鑑証明書の添付を義務付け、この三点で所有者本人(自然人または法人)の確認をしています。
権利証の表紙をめくると、管理上の注意事項が書かれています。
厳重に管理される識別情報
注意事項が書かれたページをめくると、情報(英数字の組み合わせ)が書かれているであろうページが現れます。その”情報”は下の画像のとおり目隠しがされています。
ミシン目から”目隠し”部分を切り取ると識別情報を見られるのですが、これは所有者本人も見てはいけません。
司法書士と法務局のみが必要な情報ですから。
売買の決済が終わり、抵当権抹消登記および所有権の移転登記が終わった後なら、記念に返却してもらった(無効になった)識別情報は見てもよいそうです。
ですから、年明けに決済および所有権移転登記を控えている私も、担当の司法書士先生にコピーを取ってもらい、返却して頂いた識別情報欄には、またシールで”目隠し”がされています。
私にとって第一号の売却案件であり、たくさん勉強させてくれた思い入れの多い物件でしたから記念に返却してもらいました。
たくさん売却しているメガ大家さんなどは、紛らわしい識別情報が溜まっていって管理が煩雑になるので、用が済んだ識別情報書類は司法書士先生にそのまま処分してもらうそうです。
ミシン目はつい破りたくなる?!
不動産所有者は、今でも年配の地主さんとかも多いので、注意事項をロクに見ないで、識別情報のミシン目をついつい開封してしまう人がいるそうです。
↑このように、識別情報の裏面に御丁寧に開封方法を絵付きで解説しているので、なおさら開けたくなるのでしょうね(笑)。
司法書士先生しか触ってはいけないのなら、開封方法は司法書士先生のみわかっていれば良いわけですから、このような図解付きの開封方法解説は載せないほうが良いと思いますがいかがでしょうか。
失くすと余分な費用が発生する
不動産の売買取引で、とても重要な役割を果たす「識別情報」ですが、もし、これを紛失してしまった場合はどうなるのでしょうか?
司法書士先生が面談して、「間違いなく所有者本人である」という調書を取って、お墨付きを頂くために数万円の費用が別途、掛かるそうです。
まとめ
物件の所有者さえも見てはいけない「識別情報」って、不思議な書類です。
こうしてみると、土地や建物の「不動産」は、やはり”国の厳重な管理下に置かれているモノ”ということがわかります。
「不動産」をスペイン語約すると「Real estate(レアル・エステート=王朝の所有地)」と言われる所以(ゆえん)が理解できますね。
ところで、こんなにも厳重な「登記識別情報」ですが、平成29年の「積水ハウスが地面師に63億円だまし取られた」事件は、なぜ発生したのでしょうか。これも不思議です。
終わり
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