新規入居者あるある
不動産賃貸事業をやっていて、やはり嬉しいのは「空室が埋まる」瞬間です。
特に昨今のコロナ禍等で借主が少なく、強い立場の借主による”ドタキャン”も有り得る御時世では、なおさら有難いものです。
そして、入居日にしばしば発生するのが些細なトラブルです。
・テレビのアンテナケーブル端子が壁のコネクターに差し込めない
・洗濯機用給水栓から水漏れする
・トイレの便座にヒビが入っていて、太ももの皮膚がヒビに挟まって痛い
どれも空室期間中に入念にチェックしていれば防げた不具合ですが、ミスや見落としもあります。人間だもの(苦笑)。
管理会社が対処してくれるケースもありますが、それなりの費用を請求されるので私の場合は極力自分で対応するようにしています。たいていのことは自分で解決できますし、そのために岡山市の物件しか買わない”ドミナント戦略”を採(と)っているのですから。
最後の便座は、その時あった空室の便座を持って行って流用しました。そのあとで、ホームセンターで入手した便座を空室のトイレに設置しました。
初めての生活保護受給入居者
先月末、ほぼ一年に渡り空室だった物件に、40代の独身男性が入居してくれました。
私(の法人)の所有物件は、1L D Kや2D Kの間取りもあるものの、基本的に単身者用の物件ばかりです。
そして、今回入居してくれたのは”生活保護受給者”です。私が受け入れるのは初めてです。
生活保護とは言え、ケガをしてそうなっただけで、仕事を探して働く意欲はあるとのこと。
また、そのために軽四自動車も所有しておくとのことで、駐車場代込みで三万円という賃料です。
生活保護受給者の場合は、自治体から管理会社に直接、家賃が振り込まれるので「滞納」という事象を防ぐことができるのも魅力です。
一見すると、普通の人
そんな入居者の入居日の夕方。管理会社から私あてに電話連絡が入りました。
管理会社「今日、入られた入居者様から連絡がありました。テレビのアンテナ端子を、壁のコネクターに差し込めないとおっしゃられています。どうしましょうか?」
その物件のテレビアンテナ用のコネクターは、結構、新しいのは覚えていたので、入居者が持参したケーブルのほうに問題有りの可能性があります。自宅のアンテナケーブルを持っていって私が対処する旨を伝えました。
万一、壁のコネクターに異常があったとしても、以前、ホームセンターで部材を買って直した経験があるので、なんとかなると判断しました。
管理会社からの電話連絡から40分ほど経って現地に着き、早速、入居者のケーブルを差し込もうとすると、たしかに差し込めません。
私が自宅から持ってきたアンテナケーブル端子は差し込めます。
その場はとりあえず、私のケーブルを使ってもらうことにして帰りました。
(あとでわかったことですが、入居者持参のアンテナケーブル端子には、壁コネクターの銀色の鉄製キャップが刺さっていたのが差し込めない原因でした。翌日、もう一度見せて頂いた時に気付いたので、私のアンテナケーブルは持ち帰ることができました。アンテナケーブルも、買えばそれなりの値段しますからね。)
ナカシマ「また、なにかあれば管理会社に連絡してくださいね」
入居者「遠いところ、わざわざ来てくださって、ありがとうございました」
このやり取りで終わりましたから、この時は”普通の人”なんだろうと思いました。
今度は何?
翌朝十時前。管理会社から電話がかかってきました。
管理会社「また、例の入居者から連絡がありました。玄関ドアを外して欲しいと」
ナカシマ「何それ?!なんで、そんなことを言うの?」
管理会社「手持ちの三人掛けソファを入れるのに、窓を外しても入りそうにないので、玄関ドアを外してほしいそうです。窓も外したままだそうです。それはできないとこちらも言ったのですが、”大家さんならなんとかしてくれるから大家さんと話をさせてくれ”と言っています」
ナカシマ「電話番号は知られたくないなあ。わかりました、私が行って対処します」
管理会社の担当者にそう言って、現場に急行しました。ドアの横の中連窓(ちゅうれんまど)が二枚とも外されています。網戸ももちろん外されています。
ナカシマ「○○さん、大きなソファを搬入しようとして、アルミサッシの窓枠にぶつけて、ひん曲げたりしたら弁償代も高くつくしお互いのために良くないですよ。また、玄関ドアも外すことはできません。大きなソファは処分して、一人用か二人用の搬入可能なものを調達し直してください」
入居者「そうですか・・・、わかりました」
納得してくれたようです。そのあと、窓をはめる順番を探りながら、私がなんとか元通りに中連窓を復旧させました。「話がわかる人で良かった」と、ホッとするのもつかの間。これらは、序章にすぎませんでした。
また、窓を外した!!
翌々日、雨の夕方。管理会社から着信アリ。
管理会社「例の入居者が”窓をはめることができなくなったからなんとかしてくれ”と連絡がありました。どうしましょうか?」
ナカシマ「なんだって?!また、窓を外したの?」
管理会社「先方は”大家さんは、はめるのが上手だから、大家さんに来てもらいたい”と言っています」
これは異常です。
“普通の人”なら、大家や業者を呼びつけると費用が発生することは容易に想像がつくはずですが、この入居者はそんな発想がないようです。
ナカシマ「申し訳ないけど、ここからは御社で対応して頂けますか?」
そう言って、少し時間が掛かるけど、現場付近に出回っているスタッフに行ってもらうことになりました。
数十分後、現場に着いた管理会社のスタッフと私が電話で連絡を取りながら、なんとか窓をはめこんでもらいました。
気になったので、現場を離れた管理会社のスタッフに、今回の対応は有償なのか尋ねたところ三千円+消費税くらいとのこと。
営業時間内での対応だから”緊急出動”には当たらないものの、たしかに特殊なケースです。この手の入居者は、言葉が悪いですが、大家や管理会社を困らせる、まるで”愉快犯”です。
翌朝、管理会社の営業担当者と話をして、今回だけは、なんとか無償にしてくれました。
今後、この入居者への対応は管理会社に一任することにしました。
まとめ
生活保護受給者に偏見を持ってはいけませんが、仕事をしていないので”余計なことをするための時間がたっぷりある”ことも事実です。
そして、自分の相手をしてくれた人を慕(した)い、また相手をしてもらおうと思うのでしょう。
自主管理大家さんなら、なんとかうまくやり過ごさないといけませんが、管理会社に業務委託している大家さんなら、このようなタイプの入居者にヘタに手を差し伸べると、管理会社に迷惑をかけるし、自分の首も絞めることになります。
「性善説」を適用してよい相手かどうかを見極める能力も、大家業ではある程度必要です。
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終わり
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