地方銀行で面談する時の注意事項

新規に取引金融機関を開拓!

先日、山陰に物件の内覧に行きまして、もし”モノ”が良ければ地場の金融機関に融資のお願いに行こうと考えていました。(関連記事「ある地方都市のアパート事情」)

そのため、売買仲介業者からメールで頂いていた物件資料や私なりの質問事項リスト、収支計算書に加えて、現所有物件の月次精算書、法人に関する資料や印鑑も車に積んで出かけました。

そして、内覧してみて良さそうな物件だったので、計画通りに山陰主要二行に突撃しました!

もしかしたら、「金融機関の新規開拓は苦手」という方もいらっしゃるかもしれませんが、私の場合は物怖(お)じしない性格と飛び込み営業職を、サラリーマン時代に少しですが経験していることもあり、そんなに苦手ではありません。むしろ、どちらかというと”好き”なほうです。

その後、良い展開になって末永い付き合いになった場合は達成感もありますしね。四物件目などがそのパターンです。

ところが、今回はその自信が揺らいだ場面があり、意気消沈して帰路につくことになったのです。

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G銀行の中堅バンカー、参上!

まず、一行目。山陰では恐らく自他共に認めるであろう、主力行、G銀行。

そして、なんと対象物件の近くにこの銀行の支店が二年ほど前に出来たばかりなのです!

グーグルアースで見ると、そこはまだ更地(さらち)です!!

平屋ですが、天井は高く、敷地は銀行にしてはかなり広めです。

真新しいエントランス。資料を入れたキャリーバッグを引きながら入場すると若くキレイな女性行員がフロアや窓口でにこやかに「いらっしゃいませ」と言って、迎え入れてくれます。

「アパートの融資の御相談に参りました」と伝えて、名刺を女性行員に渡すと「少々お待ちください」と言われ、ロビーで待つこと数分。

定石通りに、融資窓口に案内されました。パーティションで仕切られた、7~8はあろうかという融資窓口の真ん中あたり。

すぐに担当者らしき、がっちりした体格の男性行員が来ました。歳は40前後。特に愛想笑いをするわけでもなく、眼光が鋭い。名刺の肩書欄には「法人営業」とだけあります。

現在、岡山市で一棟ものアパートを五物件、法人で所有・運営していること、今回こちらのすぐ近くに良さそうな物件が売り出されているのを知り内覧してきたばかりであること、そして物件の資料と法人の決算書ファイルを出して融資をお願いしたい旨を説明しました。

物件の資料を見ながら、ありきたりの質疑応答のやり取りがいくつかあったのち、その担当者はおもむろに決算書ファイルをパラパラと閲覧し始めました。

私は先手を打つように、「今までの三期は物件の減価償却等もあり赤字になっていますが、今期からは黒字が積み上がっていくことになります」と補足説明しました。

決算書ファイルを見ながらの質疑応答がいくつかあったのですが、その中で次の質問に私は答えられませんでした。

G銀行担当者「御社の、年間の元金返済額はいくらくらいですか?」

ナカシマ「・・・えっ?」

頭の中が真っ白になりました。

事業を始めて今までの三年半、数々の金融機関で融資の相談をしてきましたが、この質問は初めてでした。計算したこともありませんでした。

一応、自分で会計ソフトに毎月打ち込んでいるので、おぼろげに覚えている五物件の月次元金返済額を足して、12を掛けようとするのですが、頭の中がパニック状態になってしまっているのでうまくできません。

元金均等返済の物件も一つあるし、その他四物件は元利均等返済で月々の元金返済額は変動しているから正確にすぐに導き出せるわけないし、大まかで良いにしても大まかにも計算できません。

ナカシマ「・・・ロク、六十万くらい・・・かな?」

G担当者「は?年間ですよ?」

ナカシマ「・・・す、すみません、計算しないとわかりません」

G担当者「そうですか、わかりました」

担当者は苦笑しながら次の質問に移りました。その後の受け答えはほとんど覚えていません。

“現在の私の法人は、利益や手持ち資金に比して借り入れが多すぎるので対象物件云々(うんぬん)以前に、融資検討のテーブルにも乗らない”ということを、私と話しながら決算書を見ていた担当者は早々に気付いていたのでしょう。

そして、ダメを押したのが上記の質問に対する私の対応です。

「この経営者は自社の、こんな数字も把握できていないのか」と顔に書いてあります。

「残債を、あと何年くらいで返済できるか」を把握しているかどうか、試す質問だったのでしょう。

ちなみに、銀行を出てから落ち着いて、ザックリ計算してみると約600万円でした。

T銀行でも同じ結果

気を取り直して、もう一つの地銀、T銀行の最寄りの支店に向かいました。

さっきの銀行でかなり気落ちしたので、あまりいい顔ではなかったと思いますが今度は柔和な感じの担当者で、穏やかに面談できました。

T担当者「お話は大体わかりましたが、このお話はお客様の会社所在地である弊行の岡山支店に持っていっていただけますでしょうか。」

ナカシマ「わかりました!今日の帰りに寄らせてもらってもいいものでしょうか?」

T担当者「岡山支店の担当者に聞いてみますね。少々お待ちください」

デスクに戻り、電話で聞いてもらったところOKとのこと。もし、15時を過ぎた場合はインターホンを押してもらえば応対するとのことでした。

御礼を言って、二時間半かけてT銀行の岡山支店に向かいました。

15時少し前に到着して、岡山支店の担当者と応接室で面談しました。

こちらも30代半ばの切れ者のようですが、柔和な性格の男性のようです。名刺の肩書きは「支店長代理」。

G銀行の担当者に話したのと同じように説明しましたが、やはりこの担当者も物件資料よりも私の法人の決算書に目を通しています。

今まで、新規融資申し込みでこんなに決算書をマジマジと見られた記憶はありません。これが、昨今の「融資が締まった」現象の一環なのでしょう。

そして、発せられた言葉は「申し訳ありませんが今回は、お力(ちから)になれません」。

理由はG銀行と同じく、我が法人の”体力の無さ”です。

本業とは別に繁盛している事業を別に持っているとか、紙の資産(株など)が潤沢にあるとかなら話は別ですが、私にはそんなものはありません。

「もう一、二年、現在抱えている負債の返済を進めながら、手持ち資金を貯めるべき」との見立てです。今回は、我が法人の現在の力不足を身に染みて感じる一日となりました。

まとめ

「新規に融資を打診するために金融機関に飛び込み営業したら、現所有物件の融資返済額(元金のみ)の年間合計金額を聞かれて答えに詰まった」というお話でした。

融資を受けて不動産賃貸事業を運営(経営)している人は、今後、新規金融機関に融資打診するつもりがある場合は、自分が返済している額(元金)をある程度、把握しておいたほうがよいです。

また、決算書の中の項目や貸借対照表、損益計算書についても税理士顧問契約をされている法人なら、ある程度説明を聞いて理解しておくことをオススメします。

なお、「現金のみで買い進めている人」で、今後も融資を使わない人には関係のない記事となります。

終わり

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