築古物件の原状回復工事についてです。
退去立会い後、原状回復工事をどうするかという打ち合わせの場では結構、いろんな人が自分の立場で好き勝手に意見を述べます。
お金が潤沢にあり余っているオーナー様の場合はそれらの意見をすべて取り入れることも可能ですが、その場合でも”事業経営”の観点から言わせてもらえば取捨選択が必要です。
ましてや、不動産賃貸事業を始めてまもない初心者マーク付きのオーナーですと資金繰りも苦しい時期ですから、そんなに原状回復にお金をかけられません。
また、お金をかけることが必要な場面が実はそれほど多くないことも、3年間やってきてわかってきました。
管理会社の意見を鵜呑みにしないこと
どういうことかと言いますと、参考にするのは構いませんが”「鵜呑(うの)み」にするのは危険”ということです。
例えば、和室のある物件ですと「表替え」というリフォーム作業がほぼ100%必要ですが、管理会社の担当者は良かれと思って「この際、モダン畳に替えたほうが客付けに有利ですよ」とアドバイスしてくれたりします。
私の場合は「そうなんですか」とその場では答えますが、普通に表替えだけ実施します。
モダン畳にすると6畳間で3万円ほど掛かりますが、表替えだけだと2万円で済みます。
その結果、入居者付けに手間取ったかというとそんなことはありません。
広告料やキャンペーンの影響もありますが、少なくとも「モダン畳にしなければ空室状態が3カ月以上続く」などということにはなりません。
そして、管理会社の担当者も「自分の意見を取り入れてくれなかった」と憤慨することもありません。さばさばしたものです。
同様に次のような事例があります。
・風呂場の2バルブ混合栓をサーモカランにする
・アクセントクロスを一面だけでも取り入れる
・トイレはウオッシュレットにする
・呼び鈴をテレビドアホンにする
・入居者のインターネット代を無料にする
・物件にオーナーの費用でケーブルテレビを引く
どれも、必ず実施しなければならないということはありません。
最終的には、その物件の所有者(オーナー)が自身の懐(ふところ)事情や「早く満室にしたい」等を総合判断して、どうするかを決定するべきです。
皆、悪気(わるぎ)はない
管理会社の担当者も良かれと思って発言してくれています。
オーナーのために少しでも早く満室にしてあげたい。引いてはそれが自分たちの収入(管理手数料)増にもなるわけですから。
ただし、それら管理会社他の意見を鵜呑みにして無理にお金をかけたけど、空室が半年も続いているじゃないか、どうしてくれるんだ!と詰め寄ることはできません。
いろんな人の意見を聞いて、投資判断をして実行したのは「オーナー自身」だからです。
ここで登場するのが「自己責任」という言葉です。
大きい例ではスルガ銀行とかかぼちゃの馬車問題、レオパレス問題など、すべて考え方は同じです。
誰それがこう言って、良さそうと思って言う通りにしたら、結果が全然違ったじゃないか、どうしてくれるんだ!と憤(いきどお)っても誰も何もしてくれません。
世の同情を少し集めるだけです。
リフォームだけにとどまらない
毎月の月次報告書(家賃収入精算書)の内容もチェックする必要があります。
人間ですから多少の間違いはどの業界でもありますが、マンパワー不足からか結構不動産賃貸管理業界は多いです。
と言っても、一棟ものアパートやマンションを複数棟所有、またはこれから買い進めていく予定のオーナーは「自主管理」は非現実的ですからうまく立ち回る必要があります。
何事も検討したりチェックしたりして、その都度自身が相手に対してアクションを起こすべきかどうか判断し行動する。この繰り返しです。
常に情報の「取捨選択」をする
とにかく他者の意見を「鵜呑みにしない」。
不動産賃貸事業をする方は、これを常に肝に銘じておく必要があります。
そのために有効な手段のひとつとして「あえて”孤独”に徹する」というものもあります。余計な情報を自分に入れない。必要な情報は自分から取りにいく、という姿勢です。
この考えを発展させれば「あえて”群れない”」。
“孤高で居る”ということになります。
まとめ
こうして記事を書いていると「不動産投資」とは「事業経営」なんだなとあらためて再認識させられます。
読者によっては「不動産投資って、とても息苦しいものなのかな」と思われるかもしれませんが、実際はそうでもないです。
私のような「孤高を気取ったオーナー」でしたら自由な時間もたくさんありますから、基本的にはリラックスして日々を過ごしています。
縛られるファクター(要素)が多く、苦労のすべてが自分の果実にならない「勤め人」のほうがよほど息苦しいです。
終わり
コメントを残す