不動産業界の問題点
つい先日のネットニュースの中に気になる記事がありました。
なかなか入居に結びつかない残り物件に誘導するための営業用アイテム「おとり物件」に関する記事で、最後のほうに不動産業界で感じる問題点をいくつか挙げている中に「保証会社をつけているのに保証人もつける(保証料も借りる側が払う)」という項目がありました。
この記事の著者はテレビ番組にも出ている「不動産アドバイザー」という肩書の持ち主でした。
「保証会社」と「保証人」の役割は違う
不動産投資を始めて間もないオーナーやこれから始めようと勉強中の未来投資家の中には、「たしかに。どちらか一方が付いていればよいのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれないですね。
結論から言いますと「両方とも必要」です。
私はまだ3年しか大家業を経験していませんが、両方が必要だと痛感しています。
そして入退去もかなりの数を経験しましたが、今まで「どちらか一方にさせてください」と管理会社や賃貸仲介業者から要望されたことは一度もありません。
まず、家賃保証会社は管理会社(≒オーナー)に対する「金銭面の保証」を司(つかさど)ります。
入居者が滞納してしまったら、管理会社から業務委託を受けている家賃保証会社が代わりに督促業務を開始すると同時に入居者が滞納した家賃を立て替え払いします。
3カ月以上、入居者に滞納改善の態度が見られない場合は強制執行手続きに入る、といった具合です。
他方、連帯保証人には主に「心情面の保証」を担(にな)って頂きます。
「家賃滞納はしてはいけないことだ。きちんと毎月決められた額を納めないと連帯保証人になってくれた○○に迷惑が掛かってしまう」という抑止力が期待されています。
この意味から連帯保証人になっていただく方は親兄弟などの親族が最適なのです。
あと退去立会い精算時に有り難い存在になる場合があります。
20才前後の若い退去者ですと原状回復工事に関して説明してもなかなか理解してもらえないケースがありますが、連帯保証人である親御さんが一緒に立ち会っていただけると大人の会話で比較的スムーズに退去精算を終えることができます。
私も滞納された経験アリ
今では慣れましたが(できれば慣れたくないですが)滞納は結構多いです。
悪質なものはまだ1~2件です。内、一件は”失踪”でした。オーナーである私は泣き寝入りです。
ほとんどの滞納は「忘れていた」「支払い期日に1日間に合わなかった」などの”悪気(わるぎ)はなかった”系です。
「滞納」という現象は、実際に収益物件のオーナーになって管理会社からの月次(げつじ)報告書を見た当事者でないと実感が湧かないと思います。
初めて「○○号室:滞納金額○○円」という文言を目にしたときは心臓が飛び出るほどドキドキしました。決して大げさではなく!
そして慌てて管理会社の担当者に電話すると「ああ滞納の件ですか。来月に家賃保証会社から二か月分頂けるから大丈夫ですよ」と穏やかな口調。
こっちは全然「だいじょうぶ」ではありません。
融資の返済もあるわけですから。まだまだ弱小大家で資金繰りも苦しいし。
しかし、管理会社の担当者にしてみればオーナーの懐(ふところ)事情を聞かされても今度は担当者のほうが実感湧きません。
事業経営しているわけではないですから。
そんなこんながありつつ、諸々(もろもろ)の現象を目(ま)の当たりにしながら、管理会社とすったもんだしながら色んなことに”慣れて”いくわけです。
とにかく、「保証会社と保証人の両方を付けること」については、これは「温情」とか「性善説」を差し挟(はさ)む問題ではありません。
あくまでも、ビジネスライクにいく場面です。
参考図書の御紹介
今回の件について、参考になる書籍を御紹介して終わりたいと思います。
司法書士の太田垣章子(おおたがきあやこ)氏が著(あらわ)した「賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド」です。
実際に賃貸物件のトラブルの現場を数多く解決してきた本人の体験を赤裸々につづっているので読み応え十分です。
これから不動産投資を始める方、すでに始められている方、双方に役立つ良書です。
最後に
不動産業界の問題点の中に「新築なのに鍵交換代を請求される」もありました。
新築でもいろんな業者さんが出入りするわけですからねえ。
性善説に則(のっと)れば鍵交換は不要ですが、大事をとるならば交換しておいたほうが無難ではあります。
ちなみに中古物件でも、お望みとあらば入居者側が初期費用節約のために鍵交換費用負担を拒否できます。
ただし鍵交換しなかったせいで泥棒に入られても文句は一切言わない旨、一筆(いっぴつ)書いて頂くことになりますが。
終わり
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