「売る」ことの難しさ

「売る」ことに関する情報が乏しい

今や不動産投資に関する情報は書籍、ネット上に溢れかえっています。

一口に「不動産投資に関する情報」と言っても項目は多岐に渡ります。

物件の売買、管理、賃貸、民法をはじめとする法律関連、不動産会社や工務店との付き合い方等々。

その中の「収益物件の売買」に関してですが、「購入(いわゆる”仕入れ”)」に関する情報が多く、「売却」に関する情報は少ないように感じます。

「購入」のほうが登記関連や各種手数料、融資付け等、気にする項目が多いからかもしれませんが、「売却」もそれなりに気にすることが多いのです。本記事では、私が感じた売却の難しさを綴りたいと思います。

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一般媒介と専任媒介

まず、「不動産売買」という比較的高額かつ特殊な取引のため”自主契約”や”個人間取引”は、本記事では除外します。

通常は、売買を成約した時に成功報酬を支払う「媒介契約」を締結して、仲介業者に売却活動をしてもらいます。(実際の現場では売れることが確定し、売買契約を結ぶ際に一緒に媒介契約書にサインするケースも多いです。)

媒介契約には「一般媒介」と「専任媒介」があり、専任媒介にはさらに「専属専任媒介」という契約形態があります。自分で見つけた買主との契約を禁じる専属専任媒介契約は、収益物件では使われる場面が少ないと思われるのでここでは割愛します。ちなみに仲介手数料は三つの形態とも同じ金額計算を用います。

自分が所有している収益物件を相続対策、事業の手仕舞い、資産の組み替え等で処分したくなった時、懇意にしている不動産会社に「売ってほしい」と依頼するわけですが、この時に決めなければならないのが”「一般媒介」と「専任媒介」のどちらでいくか?”、です。

一般媒介は、複数の業者に売却活動を依頼できますが、その分、連絡や取りまとめ作業が煩雑(はんざつ)になります。一方、専任媒介は一社のみに売却活動をお願いするので、連絡等の煩雑さも無く、また仲介手数料という成功報酬も自分のところだけでゲットできることが確定しているので、活動にも気合が入ります。

専任媒介のデメリットとしては「多くの買い取り希望者の目に触れにくい」が挙げられますが、これもネット社会の現代ではあまり関係ないと言う業者さんも居ます。

日本全国の不動産会社が毎日チェックしている「レインズ」と呼ばれる情報ネットワークに物件を登録することも義務付けられていますしね。

以上のことから、人気エリアではない物件とか、築年数が古い木造の収益物件を売りたい場合は「専任媒介契約」のほうが、比較的早く処分できるかもしれません。

「ネットに広告を載せる」ということ

売却活動で注意することの一つに「ネットに載せて良いかどうか」ということがあります。

「ネットに載せる」というのは、健美家をはじめ楽待、アットホームなど、不動産投資家が収益物件を日々検索しているポータルサイトに売りたい物件を掲載する、という意味です。

通常、物件を売り始める時、一般媒介なら売買が得意そうな、あるいは投資家の顧客をたくさん抱えてそうな不動産業者に連絡して”水面下”で見込み客に打診してもらいます。

そして、数日経っても売れそうになければその業者に「ネット広告を打って、表(おもて)に出してもいいよ」と声を掛けたり、さらに「他の知り合いの業者にも声掛けていい?」とか打診したりする展開になっていきます。

ここで気を付けないといけないのが、最初に声を掛けた業者が「ウチの見込み客は全滅だったから他にも声掛けていいよ」と言ってくれた場合。

新たに声を掛けた他の業者のうち「ネット広告を打って良いですか?」と聞いてくる場合があります。その時にOKした時は、忘れずに最初に声を掛けた業者にも「ネット広告OK」を連絡しなければなりません。

最初に声を掛けて見込み客に聞いて回ってくれた業者は、「売主はまだ、水面下での売却を望んでいる」と思っている可能性があるからです。

「ネットに出して良いならウチもそうしたかったわ!(苦笑)」と恨み節を言われたことがあります。幸い、長い付き合いで信頼関係が構築できていた業者さんだったので大事には至りませんでしたが、良い教訓になりました。

あと三井、住友などのいわゆる「財閥系」不動産会社は、潤沢な財力にモノを言わせて複数のポータルサイトに一気に広告を打ったりするので地場の小さな業者には脅威のようです。

あまり多くの業者に声を掛けない

一般媒介で複数の業者に表立った売却活動を許可した場合、いくつかの収益物件ポータルサイトに自分の物件の売却広告が載ります。それも、一つのポータルサイトに複数の業者が同じ売り出し金額で(←当たり前。違ったら困ります!)。

先ほどの最初に声を掛けた業者は、水面下で活動していた弊社の売り物件がネット上に出ているのをたまたま発見して電話してきました。たくさんネット広告が出てしまっているので、自分はもう載せんとこうかなと。悪いことをしました。

また、売主にとっても「自分の売り物件がたくさん掲載されて、なんか照れくさいなあ」などと悠長(ゆうちょう)なことは言ってられません。

一つには”安く”見られる、というのがあります。売り出し始めたばかりなのに、まるで「売れ残りの晒(さら)し物件」みたいな感じ。「そこまでして売り捌(さば)きたいのかな?」と思われ、足元を見られて大きな指値(さしね)をされる可能性があります。

もう一つは、広告記事に誤りや勘違いの文言があった場合、いちいち、その業者に訂正依頼をしないといけません。業者が多いほど、煩雑な作業となります。

また反響具合の問い合わせも、気になるならこちらから連絡を取らないといけません。

専任媒介契約なら一社だけの熱心な業者ですから、先方から活動報告が逐一寄せられますが、一般媒介はわざわざ気にかけて報告してはくれません。

これらのことから、一般媒介といえども一度に声を掛ける業者は2~3社に留(とど)めておいたほうが得策です。それも、ポータルサイトのネット広告が被らないような業者選定をするのがベターです。

「売り止(ど)め」にする時期

一般媒介でも専任媒介でも、契約期間は3カ月です。その間に売れれば(売買契約を締結すれば)、その時点で契約は消滅します。

ところが、まだ売れないのだけれども、「売りたくなくなった」場合はどうすればよいのでしょう?

「売ろうと思ったけど愛着あるし、まだまだ稼いでくれる物件だし、やっぱりもう少しホールドしておきたい!」と心変わりすることもあります。

この場合は「売り止めにします!」と、売却活動をお願いしている業者すべてに通達することになります。

が、ここでも注意が必要です!

売却活動には時間と労力が掛かります。そして、ネット広告を打っている場合はその費用も掛かっています(小耳に挟んだ情報では、一件あたり20~30万円とか!)。

ですから、売却活動を依頼してから一週間や二週間で「やっぱり、この物件まだ持っとくから売り止めにして」と軽はずみに言ってはいけません!!

それらの業者との、その後の関係性にヒビが入りますし、ひどい場合はそのエリアで不動産賃貸業を営めなくなる可能性すらあります

最低でも一カ月、できれば三か月みっちり契約を全(まっと)うする気持ちが必要です。

まとめ

いかがでしょうか?一般媒介契約は、自分が管制塔になって、あれやこれや気を使ったり、作業したりすることも多いので「そういう面倒くさいことはイヤだ!」という方は専任媒介を選択されるほうが良いかもしれません。

融資情勢が厳しい昨今なら、なおさら「収益物件の売却」は骨の折れる作業だと思います。「買う(仕入れる)ほうがはるかに簡単」という業者さんもいます。

こういう売却時の苦労を知れば、購入の際に「出口戦略(立地その他の好条件)」を考慮するのが、すごく大事なことに思えるのです。

終わり

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